EU欧州連合 オーガニック農業統計

EUオーガニック農業統計

この記事は2016年EUにおけるオーガニック農業の状況について述べたものである。可能な限り農業全体と比較をしている。これはユーロスタットが発行する農林水産業統計に基づいた一連の統計文書の一部である。オーガニック農業の総面積は拡大を続けており、2016年にはおよそ1200万ヘクタールの農地がオーガニック転換した。転換中エリアの比率が示す通り、この数字はまだ伸びる余地がある。

主な統計上の調査結果
EUにおける全オーガニック農地は増加し続けている

EU28カ国における全オーガニック農地は2016年現在1190万ヘクタールで、これから数年間さらに増えることが予測される。2012年と比較して、2016年のオーガニック農地の伸び率は18.7%だった(表1参照)。全オーガニック農地とは、転換中エリアと完全にオーガニック転換したエリアとの合計を指す。「オーガニック農地」とみなされるには、転換の過程を経る必要があり、その期間は作物の種類により2-3年である。

2012年と2016年の間で、クロアチアとブルガリアでは全農地に対するオーガニック農地の割合が100%を超えて増加した。その一方、以下5カ国においては減少傾向が報告されている。ギリシャ(-25.9%)、マルタ共和国(-35.1%)、ポーランド(-18.1%)、ルーマニア(-21.5%)、英国(-16.9%)。ただしマルタ共和国については、オーガニック農地自体が小さく、35%減とはいえ具体的には13ヘクタールの減少に過ぎない。グラフ1aが示す通り、2012年・2016年いずれにおいても、スペイン、イタリア、フランスの3カ国がオーガニック農地面積のトップ3である。グラフ1bは全オーガニック農地面積が10万ヘクタール以下の国々をまとめたものである。

オーガニック農地の大きさは加盟各国により大きく違いがある。2016年、4カ国で全EUのオーガニック農地面積の半分以上を占めている:スペイン16.9%、イタリア15.1%、フランス12.9%、ドイツ9.5%で、合計するとEU28カ国の合計オーガニック農地の54.4%となる(グラフ2参照)。2015年は同52.8%であった。

2016年EU28カ国全農地面積に占めるオーガニック農地の割合は6.7%

2012年から2016年まで、EU内の全使用農地面積におけるオーガニック農地面積の割合は、5.6%から6.7%へと上昇した。
グラフ3は2016年の各国の全使用農地面積に占めるオーガニック農地面積を示している。オーストリア、スウェーデン、エストニアにおいてはオーガニック農地面積の割合が18%を超えており、さらにイタリア、チェコ共和国、ラトビア、フィンランドでも10%を超えた。それ以外の国については、マルタ共和国の0.2%からスロバキアの9.8%まで様々である。

成長の可能性
オーガニック生産の可能性は2016年も増加し続けている

オーガニック生産物は完全に転換が済んだ土地から生産される。全オーガニック農地における転換中農地の割合は、今後数年間のオーガニック部門の成長可能性を示す1つの指標となりうるが、2016年その割合が10%を下回ったのは英国のみで、10カ国が10〜20%、そして15カ国が20%を超えた(グラフ4参照)。最もその割合が多かったのがブルガリア77.5%、クロアチア68.8%、ハンガリー51%であった。

作物の種類
2016年EU28カ国全オーガニック耕地の45.1%は永年草地

オーガニック生産農地は3つの主要作物タイプに分けられる:耕作作物用地(主に穀物、野菜、青刈り飼料ならびに工業作物)、永年草地(放牧地、牧草地)、永年作物用地(果樹、ベリー類、オリーブおよびぶどう畑)。放牧地および牧草地(大部分がオーガニック畜産飼育に用いられる)は500万ヘクタールを超え、その数字はEU28カ国の全オーガニック耕地の45.1%を占める。続いて耕作作物用地44.0%、永年作物用地は最も割合が少なく10.9%であった。

耕作作物が全オーガニック耕地の50%を超えた10カ国がある一方、放牧地ならびに牧草地が50%以上を占めた国は15カ国に上った。フィンランド(99.0%)、デンマーク(83.4%)、スウェーデン(77.9%)では耕作作物の占める割合が非常に高かった。一方アイルランド(92.0%)、チェコ共和国(85.6%)、スロベニア(81.5%)においては放牧地と牧草地が多数を占めた(グラフ5参照)。

大抵の加盟国では永年作物の占める割合が最も低かった(16の加盟国で5%以下)。2016年永年作物の割合が10〜20%だったのはクロアチア、ギリシャ、ポルトガルで、ブルガリア、スペイン、イタリアではその割合が20%を超えた。キプロスとマルタ共和国は永年作物が占める割合が最も高く、それぞれ46.1%と62.5%だった。この2カ国ではオリーブが大半を占めている。

オーガニック畜産
牛ならびに羊が依然として人気の種

全家畜に占めるオーガニック家畜(牛、豚、羊)に関する2016年の数字によれば、牛と羊が人気の種である。加盟国によっては際立って大きな割合でオーガニック飼育されている国がある。オーストリアは、オーガニック羊とヤギ(全羊とヤギに占めるオーガニック飼育の割合が34.3%)、オーガニック豚(同2.32%)でいずれもEU28カ国中トップであり、オーガニック牛の生産も同20.7%と第2位につけている(グラフ6参照)。
ラトビアはオーガニック牛の飼育割合がトップで22%の牛がオーガニック飼育されている。合計で8カ国が全体の10%以上の牛をオーガニック飼育しており、前述の2カ国に続きスウェーデンが3位。ほとんどの加盟国において、豚のオーガニック飼育は非常に少ない。

完全なオーガニック農場
完全なオーガニック農場により運営される農地

上述の年間統計では、オーガニック農地がどのようなタイプの農場によって運営されているかは識別していない。理想的には、オーガニック農場は全農地がオーガニック認証を受けているべきである。そうすることでオーガニック生産物を購入したい消費者に誤解を与えかねない農産物の混入を防げるからである。例外は農地がオーガニック転換中の時である。しかし現実は違っており、EUにおいてはかなりの数の農場でオーガニック生産と非オーガニック生産が混在している。農場構造統計のデータを用いれば、現状のさらなる詳述が可能である。
2013年、完全なオーガニック農場により運営されている全農地面積の割合は2.7%であった(グラフ7参照)。
部分的なオーガニック農場(例:非オーガニックとオーガニック両方ある農場)の割合は3.1%、非オーガニック農地のみの農場が残りの94.2%を占めている。

完全なオーガニック農場の割合は増えている

表2は2010年と2013年のEU各国における非オーガニック農場、部分オーガニック農場、完全オーガニック農場の数とそれぞれのカテゴリの総使用農地面積ならびに年間作業単位を示したものである。
EUレベルでは、2010年から2013年にかけて、完全オーガニック農場の数は増加しているが、部分的なオーガニック農場は減少している(表2)。これは完全オーガニック農場が創り出される過程であることを示している。非オーガニック農場のシェアが2010年から2013年にかけて0.34%減少する一方で、完全オーガニック農場の割合は0.30%増加した。それは2013年全農場数の1.05%に値する。これはもちろん国によって違いがある、下記参照のこと。
また完全オーガニック農場により運営される総使用農地は2010年から2013年にかけて34%増加した。

14カ国ではオーガニック農場の大半が完全オーガニック農場

グラフ8はEU加盟国ごとの、作物に限定しないあらゆる農場の中で耕作地の全てをオーガニック栽培している農場を示している。完全オーガニック農場のシェアはドイツの95%からルーマニアの0.5%に至まで幅がある。ドイツ、デンマーク、ルクセンブルク、チェコ共和国、スロベニア、オーストリア、フランス、エストニア、スロバキア、イタリア、オランダ、フィンランド、ベルギー、スウェーデンでは、完全オーガニック農場の割合がオーガニック農地を伴う農場の50%を超えている。

同等サイズであれば、労働力はオーガニック農場と非オーガニック農場では大差がない

年間作業単位(AWU)で計測される、完全オーガニック農場で使用された労働力は、2010年から2013年にかけておよそ123,000から174,000とほぼ42%増加した(表2)。ただし、年間作業単位は集団で報告されたもので、正確な数字および時間でないことを注記する必要がある。最低AWUは0.125。つまり小さな農場では、AWUが高すぎるように歪められる可能性がある。
EUレベルでは(表2参照)農場ごとの労働力の平均サイズは非オーガニック農場で0.9AWU、完全オーガニック農場で1.5だった。しかし、非オーガニック農場の平均規模が16ヘクタールなのに対し、完全オーガニック農場の平均は41ヘクタールであった。規模の違いは大きな影響力を持ち、この事例を用いて年間作業単位ごとに運営されたヘクタールの平均数を比較することは不可能である。年間作業単位に対する「オーガニック」の影響の可能性を分析するには比較可能な事例を見つけることが不可欠である。

10ヘクタール以下の小規模農場を省けば、農場ごとの平均総農地面積として示される完全オーガニック農場と非オーガニック農場の比較可能な平均規模が見えてくる(表3)。比較可能な事例を入手する目的で、規模にして10ヘクタール以上の完全オーガニック農場が100以下の国については除外されている。これにより2013年は21カ国(ベルギー、チェコ共和国、デンマーク、ドイツ、エストニア、アイルランド、ギリシャ、スペイン、フランス、イタリア、ラトビア、リトアニア、オランダ、オーストリア、ポーランド、ポルトガル、スロベニア、スロバキア、フィンランド、スウェーデン、英国)が残った。これらの国々では、完全オーガニック農場のほぼ99%が10ヘクタール以上、非オーガニック農場の92%が10ヘクタール以上である。
このサンプルにおける農場ごとの平均総農地面積は両グループでほぼ62ヘクタール(表3)。総農地面積➗年間作業単位の平均は、完全オーガニック農場のグループがわずかに低く(34.2ヘクタール)、非オーガニック農場のグループは36.7ヘクタールだった。完全オーガニック農場ごとの平均AWUは若干高く1.82AWU/農場。一方非オーガニック農場は1.69AWU/農場だった。ユーロスタットは2018年中に2016年のFSSデータが入手できれば完全オーガニック農場の全体的な分析を行う予定である。

https://ec.europa.eu/eurostat/statistics-explained/index.php/Organic_farming_statistics?fbclid=IwAR2hXRVvsxo1Euee2U6sRKA20w7Q6iI8-G9rUHqC9d6iwUpAYok_011UIC4

2017年11月現在データより、2018年11月更新
最新データは以下リンク参照
https://ec.europa.eu/eurostat/statistics-explained/index.php/Organic_farming_statistics#Further_Eurostat_information

訳:H